旭化成の電子コンパスは、携帯電話用として初めて3軸の地磁気センサを採用しました。
3軸タイプであるため、傾斜による方位のずれを補正することができるので、 携帯電話を水平に持たなくても正しい方位を得られます。
民生用ホール素子において、世界シェア70%のトップメーカーである旭化成電子。
デジタルオーディオや携帯電話用の信号処理ICで高い実績を誇る旭化成マイクロシステム。
そして方位を正しく求めるアルゴリズムの開発をした旭化成エレクトロニクスの電子部品研究所。
これら3社の技術が結集することで、このユニークな電子コンパスが実現したのです。
旭化成の電子コンパスは、地磁気を検出するのにホール素子を使っています。
DVDやファンのモーター制御に数多く使われているだけでなく、携帯電話やゲーム機の開閉スイッチにもたくさん使われている、
皆さんにもっとも身近な磁気センサです。 私たちは、このホール素子が非常に小さいセンサである事を生かして、
X軸・Y軸・Z軸の3方向に組み合わせても高さ1.0mmという世界最薄・最小の3軸電子コンパスを実現しました。
普通は水平にして使わない携帯電話用だからこそ、傾斜による方位のずれを補正できる3軸の電子コンパスが必要だと考えたのです。
実はこのホール素子。 けっして感度の高い磁気センサではありません。
地磁気はとても弱い磁場ですから、もっと高感度な磁気センサがいろいろあると言うのに、どうしてホール素子を選んだのでしょうか。
それは、「高感度磁気センサを作ることが目的」ではなく、「携帯電話内部で地磁気を測ることが目的」だからです。
さまざまな電子部品が高密度に並んでいる携帯電話内部には、スピーカーや鉄製部品など、
地磁気より大きな磁場を発生する磁石や着磁部品がたくさん使われています。
たとえ磁気センサの周りに強い妨害磁場があっても、高感度磁気センサのように出力が飽和しないで、
どこでも正しく地磁気を測れる(リニアリティが高くダイナミックレンジが広い)ホール素子こそ、
この目的には一番適しているのです。
ホール素子の感度は、優れたIC回路技術があるから、
センサ信号をきれいに増幅すれば補うことができる。そんな発想で開発されたのが、旭化成の電子コンパスです。
旭化成のもうひとつの優れた技術。それは、携帯電話を持つ人の自然な動きをもとにして、常に妨害磁場の大きさを測り、
電子コンパスを調整し続ける、自動調整技術(DOE:Dynamic Offset Estimation、動的オフセット補正 )です。
( 特許申請中 )
身の回りには意外と強い磁場が存在しています。 一度電子コンパスの調整をしても、電車に乗ったり、スピーカーのそばに置いたりすると、 携帯電話内部の着磁状態が変わるため、再度電子コンパスの調整が必要になってしまうのです。 その上、携帯電話の温度が変わるとスピーカー磁石の妨害磁場が変化しますし、メモリカードを出し入れしても、やはり妨害磁場が変わります。 その度に電子コンパスの調整をするのはたいへんですよね。 旭化成の電子コンパスなら、DOEの働きによって、手に持って歩いている間に、バックグラウンドで自動調整をかけ続けているので、 たとえ妨害磁場の状態に変化があっても、いつでも正しい方位を知ることができます。
このような自動調整は3軸タイプの電子コンパスと独自のアルゴリズムがあるからできること。 携帯電話に搭載された 「 調整不要の電子コンパス 」 は、旭化成の高度な技術が支えているのです。